私、これでも音楽なんぞをやっているので、この手の音楽が題材らしきものについては出来るだけ手に取るようにしています。
なのでこの作品も本屋で見かけて何も考えずに手に取りレジへ、そして数年放置という流れです。
先日まだビニールに包まれている状態で見つかったので通して読んでみることに。
全6巻なのであまり時間もかかりませんでした。
物語は主人公である後藤朔太という高校生が幼いころ両親の離婚により離れ離れになった姉、和泉詩織と再開する所から始まります。
しかもその姉は朔太がお気に入りのインディーズバンド「インセスト」のボーカルで、彼は話の流れからバンドのローディとして関わっていきます。
はい、ここまで読む限りはなんてことのないバンドモノっぽい感じですが、実際にはタイトルの「青春ポップ」感は全く感じませんでした。
むしろ「スクールデイズ」並のドロドロ愛憎劇です。ヤンデレですよ!!ヤンデレ!!
なので爽やかな音楽系ラブコメをお求めの方は手に取らないほうが良いです。
表紙と内容は全然違います。私も読んでいてものすごく驚きました。
また、「お色気」ではなく「完全なエロ」です。表現が直接的で苦手な人もいるかもしれません。
人間関係もある程度の人数が関わって入るのですが、あくまで朔太、詩織、そして朔太の彼女である彩乃の3人がメインで他は添え物程度です。
ちなみにヤンデレになるのは彩乃です。完全にぶっ壊れます。
音楽的な内容は楽器や機材に関しては薄く、その手のものが好きな人には物足りない気もしますが、普通の人には分からないものも多いので必要以上に詳しく書く必要は無い気もします。
音楽業界に関してはバンドにありがちな「ボーカル目当て」の契約です。
まあでも、バンドにとっては避けることの出来ない問題の一つでもあるんですよね。
漫画の世界だけではなくメジャーシーンというのは、演奏隊のメンバーがよほどのものを持っていない限りはサポートで事足りてしまうんです。
例えば「Siam Shade」のように演奏隊にもウリがあるバンドでもなければ誰でも良いわけですから。
そうなってくるとオーソドックスなポップスやロックのバンドでは本当に難しくなりますよね。
「インセスト」も上記のような形で話が進んでいきます。
しかもいつの間にか朔太がベーシストとして加入しているという「いつの間にベース覚えたん?」という展開に。
全く楽器の出来る気配も無かった朔太がごく僅かな期間でプロの現場でベースを弾いています。
ベースって基本的に一本の弦を弾くので見た感じはギターよりも簡単に見えますが、綺麗な音を粒立ち良く弾くのは相当難しかったりします。
しかも最近のベースは演奏面においてかなり動くフレーズを要求されるのでなおさらです。
物語上必要な展開とは言え、この辺はちょっと無理があったかもしれませんね。
最終的には無理矢理ソロで歌わされている詩織を朔太が番組放送中にも関わらず連れ出し、連れ出した先で二人は結ばれ、最後はスクールデイズ、そして3年後…の流れです。
幸い誰も命を落とすことなく、それぞれが自分の道を歩き始める綺麗にまとまったエンディングを迎えるのですが、ハッピーエンドかどうかは何とも言えません。
これを書く際にアマゾンで評価を見てみたのですがまあ低い。そりゃこの表紙からこの展開なんて一気読みした私でも驚きですから。
もっと音楽に焦点を当てたり、メンバーやその他の登場人物も掘り下げたらこういった展開を迎えなくても良かったのかなと思わないこともありません。
ただ、私個人としてはアマゾンの評価ほどダメなものではないと思っています。
6巻でキレイにまとまっているし、細かい点では音楽の事についてもきちんと描けているので違和感は特にありませんでした。
表紙と物語のギャップが激しいのが評価の原因ではないでしょうか。
こういう話であると分かって読むのであれば正直問題もなく読めてしまう作品というのが私の感想です。
割りと面白かったな、と。この辺はあくまでも個人的な感想ですが。
まあ、こんな記事書いといて強くオススメ出来るかは微妙ですが、この手の内容に耐性があるのであれば一度読んでみてはいかがでしょうか。